光のもとでⅠ
「じゃ、俺ら帰るけど、翠葉は無理すんなよな?」
言いながら、海斗くんが先に玄関を出た。
佐野くんも同じようなことを口にする。それには、「ごめんね」と答えた。
ポンポン――頭を軽く叩かれ、
「追い詰めない追い詰めない。……人間、自分を追い詰めなくちゃいけないときもあるけど、たぶん今はその時じゃないと思う。御園生、今はテストのことだけ考えたら?」
視線を上げると、
「謝るようなことも、謝られるようなことも、俺も御園生もしてない。だろ?」
「ごめん」の先手を打たれた。
「俺はそう思ってるから。だから、そんな顔しなくていいし。……じゃ、おやすみ! また学校でな」
玄関が閉まり振り返ると唯兄と蒼兄が立っていた。
「悩みごと?」
唯兄に訊かれて、「ううん」と答える。
「そう?」
「そう」
蒼兄は、
「無理してないか?」
「してないよ。大丈夫」
ふたりの前を通り過ぎ、部屋に入って思う。
あぁ、私もザラザラの国の住人になってしまったかもしれない、と。
言いながら、海斗くんが先に玄関を出た。
佐野くんも同じようなことを口にする。それには、「ごめんね」と答えた。
ポンポン――頭を軽く叩かれ、
「追い詰めない追い詰めない。……人間、自分を追い詰めなくちゃいけないときもあるけど、たぶん今はその時じゃないと思う。御園生、今はテストのことだけ考えたら?」
視線を上げると、
「謝るようなことも、謝られるようなことも、俺も御園生もしてない。だろ?」
「ごめん」の先手を打たれた。
「俺はそう思ってるから。だから、そんな顔しなくていいし。……じゃ、おやすみ! また学校でな」
玄関が閉まり振り返ると唯兄と蒼兄が立っていた。
「悩みごと?」
唯兄に訊かれて、「ううん」と答える。
「そう?」
「そう」
蒼兄は、
「無理してないか?」
「してないよ。大丈夫」
ふたりの前を通り過ぎ、部屋に入って思う。
あぁ、私もザラザラの国の住人になってしまったかもしれない、と。