光のもとでⅠ
「……また、お仕事ですか?」
「いや、そうじゃなくて――」
エレベーターに促され、扉が閉まると再度口を開いた。
「彼女が妊娠してね。先日、流産しかけて入院したんだ」
私が絶句すると、
「あぁ、急にこんな話でごめんね」
「あ、いえっ……」
中途半端に話すのもなんだから、と楓先生はもう少しだけ詳しく話してくれた。
「妊娠初期の流産はさ、医学でどうこうできるレベルのものじゃないんだ。だから、絶対安静って状態で入院してるわけだけど……。翠葉ちゃんならわかるよね? 動けない人のつらさ。いつも元気すぎるほどによく動く、働く人間が急にベッドに縛り付けられたときのストレス。俺も医者としてそういうのは理解してるつもりなんだけどさぁ……やっぱり、今は無理されたら困ると思うから、そっちが先に口を衝くんだよね。結果、超絶不機嫌な彼女の出来上がり」
楓先生は茶化すように笑って話していたけど、ものすごく困っているのが見て取れる。
「いや、そうじゃなくて――」
エレベーターに促され、扉が閉まると再度口を開いた。
「彼女が妊娠してね。先日、流産しかけて入院したんだ」
私が絶句すると、
「あぁ、急にこんな話でごめんね」
「あ、いえっ……」
中途半端に話すのもなんだから、と楓先生はもう少しだけ詳しく話してくれた。
「妊娠初期の流産はさ、医学でどうこうできるレベルのものじゃないんだ。だから、絶対安静って状態で入院してるわけだけど……。翠葉ちゃんならわかるよね? 動けない人のつらさ。いつも元気すぎるほどによく動く、働く人間が急にベッドに縛り付けられたときのストレス。俺も医者としてそういうのは理解してるつもりなんだけどさぁ……やっぱり、今は無理されたら困ると思うから、そっちが先に口を衝くんだよね。結果、超絶不機嫌な彼女の出来上がり」
楓先生は茶化すように笑って話していたけど、ものすごく困っているのが見て取れる。