光のもとでⅠ
 私はおろおろしながらも彼女さんを観察していた。
 誰かに言われれば気づくけど、言われなかったら気づかない。
 人をじっくりと見てしまうのは私の癖。
 指摘されたことは何度もあるけれど、観察を実行しているときに思い出すことはない。
 彼女さんはくっきり二重できれいなアーモンド形の目をしていた。髪の毛は肩よりも少し長いくらいで柔らかな栗色。たぶんカラーリングをしているのだと思う。瞳の色とはだいぶ違って見えたから。
 ベッドの上にいるから定かではないけれど、背の高い人なんじゃないかと思う。
 首筋がすっとしていて手が長い。羽毛布団に隠れてはいるけれど、足も長いように思えた。
「アズマカホデス。ドウゾ、ヨロシク」
 急に自己紹介をされて戸惑う。
 思い切り棒読みの挨拶だった。
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