光のもとでⅠ
14
楓先生が戻ってきたのは三十分ほどしてからのことだった。
「探したんだけど見つからなくて。帰りにもう一度探してみよう?」
「……先生、ごめんなさい。本当はポーチを忘れてきたというのは嘘なんです」
先生はクスクスと笑った。
「うん、わかってた」
「え……?」
「俺と果歩のやり取り見たら、翠葉ちゃんがどう動くかはなんとなく検討ついてたから」
やっぱり……。
「翠葉ちゃん」
「はい……?」
果歩さんに視線を向けると、手に持っていたシャーペンを差し出される。
「この先端でザックリ刺していいと思うの」
にこりと笑ってそう言った。
「いえ……あの……ここが病院とはいえ、それはやっぱりちょっと……」
おずおずと後ずさりをすると、
「楓さん、翠葉ちゃんにジュース用意してあげて」
それはお願いではなく、命令。
「探したんだけど見つからなくて。帰りにもう一度探してみよう?」
「……先生、ごめんなさい。本当はポーチを忘れてきたというのは嘘なんです」
先生はクスクスと笑った。
「うん、わかってた」
「え……?」
「俺と果歩のやり取り見たら、翠葉ちゃんがどう動くかはなんとなく検討ついてたから」
やっぱり……。
「翠葉ちゃん」
「はい……?」
果歩さんに視線を向けると、手に持っていたシャーペンを差し出される。
「この先端でザックリ刺していいと思うの」
にこりと笑ってそう言った。
「いえ……あの……ここが病院とはいえ、それはやっぱりちょっと……」
おずおずと後ずさりをすると、
「楓さん、翠葉ちゃんにジュース用意してあげて」
それはお願いではなく、命令。