光のもとでⅠ
 そして、果歩さんが口を開けた瞬間にその口を手で塞ぐ。
 楓先生はモゴモゴと抵抗する果歩さんを気にせず私を見た。
「果歩も誰かと話せる環境があったほうがいいと思ったし、翠葉ちゃんも話す人が必要なんじゃないかと思って」
 ぷはっ、と果歩さんが楓先生の制止を振り切り、
「何よそれっ」
 楓先生は果歩さんを見ることなく私に話し続ける。
「知らない人だから話せることもあるよね? 今のところ、果歩が藤宮と関わっているのは俺と静さんだけ。ほかには司が資料を届けにきていたけどもう必要なものは揃ってるはずだから」
「え……?」
「秋斗に言って翠葉ちゃんのセキュリティ登録してもらっておくから、好きなときにここにくればいいよ。たとえば通院のついでに、とかね」
 にこりと笑った楓先生が神様に見えてしまった。
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