光のもとでⅠ
「刺す」ではなく「投げる」でよかった、と思った。
「だからっ、とっとと退院させてって言ってるでしょうっ!?」
「それは産科の先生の判断に任せてるから俺に言われても困るんだよね」
 キッと楓先生を睨み上げるとき、果歩さんの視界に私が入ったらしい。
「あ、ごめんね」
 急ににこりと笑顔になる。
「果歩、俺と翠葉ちゃんへのその態度の差は何……」
「気のせいでしょ? で、翠葉ちゃん。もし時間があったらいつでもおいで? 週末以降とか気にしなくていいから。むしろ、週末には退院する気満々だし」
「でも……」
「私、このレポート以外は基本暇人だから。っていうか、楓さんが邪魔しに来なければとっくに終わってるはずなんだ。邪魔しに来なければとっくにねっ」
 ふたりを見ていて思ったこと。
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