光のもとでⅠ
「蒼兄、おはよう。唯兄は……? 寝てるのかな? それとも一緒に朝ご飯食べた?」
「たぶん上で寝てる」
 と、天井を見ながら口にした。
 そこへ栞さんがホットミルクを持ってきてくれた。
「彼には十時まで起こさないでって言われてるの。だからそれまでは放置」
 栞さんは肩を竦めてクスクスと笑った。
「湊先生は……?」
「湊は昨日手術した友達が気になるとかで、病院へ寄ってから学校へ行くって言ってたわ」
 そっか……手術の翌日だものね。
 私はフルーツサンドを頬張りつつ、ハチミツが少し入ったあたたかく甘いミルクを口にする。
 フルーツサンドは昨日司先輩が作ってくれたもの。
 バニラの香りがふんわりと優しいクリーム。
 甘いものやあたたかいもの。優しい香りがするものたちは、私を穏やかな気持ちにさせてくれる。
 そういうものや人が私の周りにはたくさんあって、改めて自分が幸せなのだと実感する。
「翠葉ちゃん、両サイドの髪の毛だけでも結ばない? 本当は髪の毛をアップにしたいところだけど、首の怪我はまだ完治していないものね」
 と、櫛を片手に栞さんが私の横へ座る。
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