光のもとでⅠ
「こんなふう」とは、年上風を吹かせるでもなく、気さくな友人のように接してくれる、という意味。
 年を訊いたら唯兄と同い年だった。だから余計に親近感がわくのかな、と思いつつ話している。

 カップにジュースを注いでいると、
「翠葉ちゃんの分も入れるのよー?」
「あ、はい。いただきます」
 私はグラスに半分リンゴジュースを注ぎ、ミネラルウォーターを同量注ぐ。
 右手にカップ、左手にグラスを持ってベッドサイドへ戻ると、
「椅子でもソファでも、楽な方に座ってね」
「はい」
 私は遠慮はせずソファに座らせてもらった。
 座る、というより、上がりこむ。
 見ず知らずの人の前ではこんなことはしないし、親しい人の前でないとしない行動。
 今、素の自分でいられるのは初めて来たときに楓先生がそうなるように誘導してくれたから。
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