光のもとでⅠ
「翠葉ちゃん、本当は床の方がいいんだよね」
「楓さん。床はひどいでしょ、床は……。ここ病院だし、この階の床は絨毯敷いてあるけどみんな土足で歩いてるとこだよ?」
 怒る、というよりはこめかみを押さえ呆れた様子で果歩さんが口にした。
「まさか、そのまま床になんて座らせないよ。ちゃんとソファに座らせますとも」
 背を押され、ソファの前まで連れてこられた私は悩んだ。悩んで悩んで普通に腰掛けた。
 そんな私を楓先生が笑う。
「いつもと一緒でいいよ」
 戸惑う私を果歩さんは不思議そうな顔で見ているし、楓先生はクスクスと笑って私の靴に手をかける。
 靴は簡単に脱がされ脇の下に手を入れると、ひょい、と持ち上げられ、次の瞬間にはソファの上に下ろされていた。
「なるほど。床の上ならぬ、ソファの上ね?」
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