光のもとでⅠ
写真雑誌に載っている、四角く縁取られた部分を細いボールペンで真っ黒になるまで塗りつぶし、それを最後にページから引き抜いて細かく細かく破いていた。
高校を自主退学したすぐあとのこと――四角い枠が嫌で、四角い枠にきれいな風景が写っていることが嫌で。笑顔で写っている人も、なにもかもが嫌で。
黒く塗りつぶし、ビリビリに破いた。
最初は誰にも気づかれなかった。ゴミはビニール袋に入れてロッカーに隠していたし、雑誌の表面は何も変わらず。ボールペンで塗りつぶしてから破くともなると、一日にそう何枚もできるものではなかったから。
けれど、日が経つにつれて雑誌の厚みが変化を始め、蒼兄が気づいた。
蒼兄は何も言わずに抱きしめてくれた。そして、全部塗りつぶして破いていいよ、と言ってくれたのだ。
見つかってしまった背徳感と、人に見られたことで我に返った私は、半分以下の薄さになってしまった雑誌を見て、わぁっと泣いた。
その数日後、蒼兄は「プレゼント」と言って同じ号の雑誌を持ってきてくれた。わざわざバックナンバーを取り寄せて……。
高校を自主退学したすぐあとのこと――四角い枠が嫌で、四角い枠にきれいな風景が写っていることが嫌で。笑顔で写っている人も、なにもかもが嫌で。
黒く塗りつぶし、ビリビリに破いた。
最初は誰にも気づかれなかった。ゴミはビニール袋に入れてロッカーに隠していたし、雑誌の表面は何も変わらず。ボールペンで塗りつぶしてから破くともなると、一日にそう何枚もできるものではなかったから。
けれど、日が経つにつれて雑誌の厚みが変化を始め、蒼兄が気づいた。
蒼兄は何も言わずに抱きしめてくれた。そして、全部塗りつぶして破いていいよ、と言ってくれたのだ。
見つかってしまった背徳感と、人に見られたことで我に返った私は、半分以下の薄さになってしまった雑誌を見て、わぁっと泣いた。
その数日後、蒼兄は「プレゼント」と言って同じ号の雑誌を持ってきてくれた。わざわざバックナンバーを取り寄せて……。