光のもとでⅠ
「入院してるとき?」
 果歩さんに声をかけられてはっとする。
「えぇと……今年の夏はしてません。でも、去年入院したときはしてました」
「え……毎年入院してるのっ!?」
「さすがにそれは……あ、でも、高熱が続いて数日間の入院とかならちょこちょこと……」
「はぁぁぁ……そりゃ、翠葉ちゃんに会わせて私を改心させたいわけだよね」
 果歩さんは自分から楓先生の話に戻す。
「どうしますか? やりますか?」
「やるでしょう、やるしかないでしょう。っていうか、んなもん一社で十分。そもそもバックナンバーまで揃える必要ないしっ! だいたいにしてさ、こういう雑誌って途中から読んでもビギナーがどうにかなるようになってるものなのよ。それを何、わざわざ一年分もバックナンバー揃えるかなっ!?」
 言いながら、ギンっとそれらを睨みつける。
「じゃ、やりましょう」
 私は一番古い雑誌を手に取り果歩さんに渡した。それと適当なビニール袋を見繕ってきて、果歩さんの前に出す。
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