光のもとでⅠ
「よっし、やるっ!」
 果歩さんはお布団から足を出して胡坐をかいた。胡坐をかいた足の上にビニール袋を置いたからちょっとストップをかける。
「病室が寒いとは思わないけど――でも、冷やすのはやめましょう?」
 ビニール袋を取り上げ、胡坐をかいたまま前傾姿勢でやる気満々の果歩さんの足に羽毛布団をかけた。その上にポンポンと座りよくした場所を作り、ビニール袋を置く。
「はい、どうぞ」
 雑誌を渡すと、果歩さんは中の薄いページからではなく表紙の厚紙から取り掛かった。
 ビリっ――景気よく音が鳴る。ビリビリビリ――。
 見ていたら、なんとなく自分もやりたくなってしまった。
 別にイライラしているわけではないけれど、悶々としているものはあったかもしれない。
「果歩さん、私もやっていいですか?」
 所有者は果歩さんなので、了承を得なくてはいけない。
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