光のもとでⅠ
 私、どうして果歩さんにはこんなことを言ってばかりなのかな……。初めて会った日から、浅はかなことばかり訊いている気がする。
 すると、ポンポン、と頭を叩かれた。
「ゆっくりね。ゆっくり身体起こして?」
 かけられた声は優しかった。
 言われたとおり、少しずつ上体を戻すと、果歩さんは前傾姿勢だった身体をぐん、と伸ばす。
 ポスン、とクッション代わりの枕に背を預け、こっちを見て苦笑した。
「翠葉ちゃんには敵わんなぁ……」
 果歩さんは美人さんだけど口調はざっくばらんで、去年入院していたときに私を担当してくれていた看護師さん、水島さんを彷彿とさせる。
「ねぇ、黙っててあげるから白状しない?」
「……何を、ですか?」
「翠葉ちゃんって実は楓先生に送り込まれた伏兵でしょう?」
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