光のもとでⅠ
 言われて驚く。
「そんなっ……私が兵力の足しになるとは思えませんっ。――でも、兵力って? あれ? 果歩さん、楓先生と戦争しているんですか?」
 毎日のように口喧嘩しているとは聞いていたけど……。
 果歩さんは急に笑いだした。
「あははっ、ははははっ」
 何がおかしかったのかはわからないけれど、果歩さんがこんなに大声で笑うところを見たのは初めてだった。
 果歩さんはよく笑う。よく怒るけど、同じくらいよく笑う。
 私がどんな浅慮な言葉を口にしてしまっても、果歩さんはいつだって笑顔で流してくれる。そのときに応じた笑顔で。その場の雰囲気をカラっと変えてくれる。
 そんなところも唯兄と似ていると思った。
 笑いが収まると、グビグビっとリンゴジュースを飲み干す。
「おかわりもらっていい?」
「はい」
 ソファを立ち上がろうとしたら、手を掴まれた。
< 8,559 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop