光のもとでⅠ
「翠葉ちゃんのグラスも空けちゃおうか? で、一緒におかわりしよう」
 私のグラスにはまだ半分近くジュースが残っていて、私は果歩さんと同じように飲み干した。

 おかわりを注いでくると、果歩さんが話しだす。
「翠葉ちゃんの言うとおり。たぶん、私はこの子をおろすなんてできない。今、ここにいるのも結局はこの子を守るためだと思う。意識してたわけじゃないんだけど、翠葉ちゃんに言葉にされたら、そっか、って思った。そのとおりだな、って」
 実際に、何度か抜け出そうとは思ったらしい。けれど、そこに果歩さんのお母さんがいらしたのだとか……。
「うちの母、ここの病院のオペ看なの。あぁ、オペ看って、つまりは手術室専任の看護師なんだけど……。その母がね、看護部長の手を煩わせるな、って言うのよ。私の担当看護師さんって、どうやら母の上司らしくて……」
「はぁ……」
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