光のもとでⅠ
「楓さんと付き合ってるのってさ、公になっていいこと何もないじゃない? 母だって職場でやな思いするかもしれないし。今のところ、看護部長しか知らないみたいだけど」
「……公になっていいことが何もないっていうのは、悪いことがある、ということですか?」
訊くと、「悪いことしかないでしょ」と言われた。
「あの……たとえばどんなことですか……? あ……って訊いてもいいですか?」
「翠葉ちゃん。ソレ、すでに訊いてるって言うんだよ?」
「ごめんなさいっ」
「いいいい。別に気にしてないから。つまりさ、見目麗しく? 頭脳明晰? お家柄もご立派で? そんな人が目ぇ惹かないわけないじゃない? その隣に分不相応な女が並べばいいようには見られないって話」
わかりたくなくて――でもわかってしまう。「分不相応」という言葉の意味が。
秋斗さんの申し込みを断った最初の理由はそれだったから。痛いほどに、わかってしまう。
「……公になっていいことが何もないっていうのは、悪いことがある、ということですか?」
訊くと、「悪いことしかないでしょ」と言われた。
「あの……たとえばどんなことですか……? あ……って訊いてもいいですか?」
「翠葉ちゃん。ソレ、すでに訊いてるって言うんだよ?」
「ごめんなさいっ」
「いいいい。別に気にしてないから。つまりさ、見目麗しく? 頭脳明晰? お家柄もご立派で? そんな人が目ぇ惹かないわけないじゃない? その隣に分不相応な女が並べばいいようには見られないって話」
わかりたくなくて――でもわかってしまう。「分不相応」という言葉の意味が。
秋斗さんの申し込みを断った最初の理由はそれだったから。痛いほどに、わかってしまう。