光のもとでⅠ
「果歩さんはベッドにいらっしゃいますね? ――えぇ、わかっています。御園生さんが心配しているようでしたので……」
 小枝子さんがちらりと私を見た。次の瞬間――ドアの向こうから大きな声が聞こえた。
「翠葉ちゃーんっ!? 私、ベッドから下りてないからっ。翠葉ちゃん、待っててって言いたかったんでしょ? 大丈夫だからっ。ちゃんとベッドでお座りして待ってるっ。落ち着いたらまたおいで――って、今日はともかく、かばんやコートは楓さんにでも届けてもらうから。安心してっ」
 果歩さんの声が止むと、私の息遣いのみがその場に響いた。
「……だそうですよ?」
 小枝子さんはにこりと笑ってPHSを切った。
「そんなに周りを気にしなくて大丈夫」
 安心したからか、まだ治まりきらない胃の痙攣が再度強まる。
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