光のもとでⅠ
 目を覚ますと見慣れた病室にいた。
 暗くても、確認しなくてもわかる。今夏を過ごした九階の病室。相馬先生の診察で使っている病室。
 視界に点滴のパックが目に入った。いつも、私に水分を補給してくれる輸液パック。
 胃部不快感は多分に残っている。それでも、さっきよりは楽になっていて、今は痛みのほうが強い。
「失礼します」
「え?」と思う。
 声がツカサなのに、言葉がツカサではない。
 暗い空間に白衣が浮かび上がる。
「電気、点けますね」
 直後病室が明るくなり、ベッド脇に立ったのはツカサと同じ顔をした違う人。涼先生だった。
「お久しぶりです」
 かけられた言葉にポカンとしていると、クスクスと笑われる。
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