光のもとでⅠ
「そんなに司と似ていますか?」
 私は気恥ずかしくも、コクリ、と頷いた。
「調子はよくなさそうですが……吐き気はどうでしょう? 点滴に吐き気止めを入れたのですが」
「さっきみたいな吐き気は、ない、です。胃の痙攣も、治まったみたいです」
「それはよかった。では、診察をしましょうか」
「はい」
 身体を起こそうとしたら、トン、と優しく肩を押さえられた。
「寝たままで大丈夫ですよ」
 涼先生はにこり、と笑う。
 困ったことに、私はそれだけで赤面してしまう。
 涼先生は何も見なかったように脈を取ったり診察を始めた。
 私は訊かれたことに答え、先生は胸とお腹に聴診器をあてる。
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