光のもとでⅠ
「こちらに背を向けて、横になれますか?」
 言われたとおりにすると、その状態で背中の音を聴いてくれた。触診のあと、
「相馬先生も仰っていましたが、胃の調子がよくありませんね。最近、鎮痛剤の服用回数はどんな具合ですか?」
「……ちゃんと処方指示は守っています」
 それはきっと今日まで。明日からは、テスト後に――とずらした生理が始まる。欠席日数を減らすため、土曜日に一日目がくるようにしていた。生理が始まれば鎮痛剤の乱用をすることになる。ピルを飲み始めたからといって、すぐに痛みが軽減することはなかった。その代わり、生理期間が二週間に及ぶことはなく、一週間できちんと終わるようになった。

 涼先生は手元のモバイルディスプレイを見て、
「分量どおり飲んでいてもこれだけたくさんの薬を服用していますからね。胃も悲鳴をあげることでしょう。――あぁ、以前胃潰瘍になったことがあるようですね。そのときからずっとピロリ菌除菌補助剤とH2ブロッカーが連続処方されていた、と。そうでしたか……」
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