光のもとでⅠ
「っていうか、あんた若槻なんだから翠葉ちゃんのお兄さんなわけないでしょっ!?」
「兄にも色々とあると思うけど? たとえば従兄とか」
「そうだったのっ!?」
 イエ、チガイマス――私が思うのと同じタイミングで唯兄が同じ答えを口にする。
「ほかにもあるでしょ? 養子縁組とか。――何、アズマ、そういうの知らないわけ?」
「知らないわけないでしょっ!?」
「だったら想像力のひとつでも働かせてみたら?」
「っくーーー、むかつくっっっ。五、六年ぶりに会ってもその捻くれた性格は変わらずねっ!?」
「お褒めに預かり痛み入ります。因みに、頭の中身もそのまんま頭脳明晰です。万年二位のアズマさん」
「うっさいっっっ、万年二位言うなっ」
「だって、万年二位は万年二位じゃん? あ、三位ってこともあったっけ? 忘れてた、ごめんごめん」
 なんとも抑揚の欠片もない平坦な声音。
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