光のもとでⅠ
「地元から遠く離れたわけじゃないのにさ、なんか……運よく会わないでこれちゃったんだよね。それが今日いきなりだったから、ちょっと驚いた――それだけ。別に、とくだんアズマと仲が悪いとかそういうんじゃないから。あぁ、逆に仲がいいってわけでもないけど」
「うん……」
「じゃ、リィはお風呂の用意してちゃちゃっと入ってきちゃいな」
「ん……」
 部屋を出て行く唯兄の背中が寂しそうに見えた。
 お姉さんやご両親のことを思い出しているのかな……。亡くした人を思い出すのって、どんな感じなのかな――。
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