光のもとでⅠ
 ひとり洗面所に立ち、鏡の中の自分に問う。
 寂しそうな気配がすると寄り添いたくなるのはどうしてだろう。
 何ができるわけでもない。それでも、側にいて緩和剤や緩衝材になれないかな、と思ってしまう。
 でも、本当に寂しいのは誰……?
 ――自分?
 人に側にいてほしいのは、人の側にいたいのは私自身なのかもしれない。
 ……どっちでもいい。今はぬくもりが恋しい。あたたかいものにくっついていたい。寒いと、不安が助長する気がするから。
 あたたかいものに寄り添ったら、ぬくもりを感じることができたら、それだけで「安心」を得られる気がしたの。
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