光のもとでⅠ
 これが会話だと、会話そのものが止まってしまう。
 会話が止まっても、私が話そうとしているのがわかれば待ってくれる。今、私の周りにいる友達はそういう人たち。
 わかっていても踏み出せないのは、単に私が臆病なだけ。
 私は踏み出す直前ではなく、もっと後ろの方にいる。順番待ちの後方。タンタンタンタン――縄が地面に当たる音や、タタタ――と人が駆ける音。それらが規則正しく聞こえる中、緊張して列の後方でもじもじしているだけ。まだ跳ぶ準備はできていなくて、所在なさげに列の最後尾にいる。跳ぼう、と思うまで列に加わることはない。そんなところに私はいる。
 みんな、私が何か抱えていることには気づいているけど、無理に聞き出そうとはしない。無理に列に加えようとはしない。跳ばない私がその場にいられるのはみんなが優しいからほかならない。
 そういうの、全部わかってるのに私は何も話せないでいた。
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