光のもとでⅠ
 教室のドアに手をかけ、ゆっくりとスライドさせる。
「どこも同じ……」
 朝の教室――とくに冬の朝はほの暗い。太陽の光が教室の窓辺にしか届かないから。小学校も中学校も高校も、それはどこであっても変わらない。
 教室中の机が黒っぽく見える中、私は光を求めるように窓際の自分の席へと向った。
 中身があまり入っていない軽いかばんを机に置き、そのまま外に視線を向ける。窓からは、私が歩いてきたときよりも人口密度が増した桜並木が見えた。
 今日は朝練のある部が少ないのか、いつもよりも人の数が多く感じる。寒さからか、背を丸めてひとり黙々と歩く人もいれば、大きな口を開けて笑い、友達と話しながら歩いてる人もいる。単語帳を見ながら歩いているのは三年生だろうか。
「終わる、のね……」
「何が?」
 突如かけられた声にびっくりした。声の主は佐野くんだった。
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