光のもとでⅠ
 音が鳴るくらいの強さで額を叩かれた。佐野くんが距離を詰めて私の真正面に立っていた。
「残り一学期。三学期だって一緒に終業式迎えるつもりなんだから頼むよ」
 悔しそうに顔を歪めて言われる。
「……ごめん。……そうだね、がんばらないと」
「御園生……」
「ん?」
「二学期が終わるのに――どうして御園生は入学当初に戻ってんの?」
「え?」
「……無自覚?」
「ごめん、何が……?」
「……ごめんと作り笑いの回数が増えた」
「っ……」
「二学期後半ずっとマスクしてたけど、でも……目が笑ってなかった。そういうの、気づくやつは気づくよ」
 心臓に冷水をかけられたらきっとこんなふうだろう。言葉も出ないくらいにひやっとした。
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