光のもとでⅠ
「俺さ、助けてって言われたとき、本当に嬉しかったんだ。でも――」
ものすごく傷ついた、そんな顔で言われる。
「……御園生、俺たちが四月から築いてきたものってなんだろうな?」
佐野くんは私の返事を待たずに自分の席へ戻り、直後、あっという間にクラスは人で溢れた。
終業式が終わるとクラスで成績表が渡される。いつもなら割と静かなホームルームもこのときばかりは騒々しい。みんな、自分と人の成績を比べてあれこれ話している。中には、「やっべ……俺、冬季補習組だっ」と呆然とする人も……。
一学期の終業式には出席できなかったから、高校でこの光景を見るのは初めてだった。
終業式自体は桜林館に入場してから二十分とかからずに終わった。けれど、その二十分を立っていられない私は最初から列に加わらなかった。朝のホームルームが終わってすぐ、川岸先生に申し出て許可をもらい、ひとり桜林館の隅に座らせてもらっていた。それに気づいた湊先生がやってきて、「ずいぶんと成長したじゃない?」と言われたけれど、どこが成長したのだろうか。
ものすごく傷ついた、そんな顔で言われる。
「……御園生、俺たちが四月から築いてきたものってなんだろうな?」
佐野くんは私の返事を待たずに自分の席へ戻り、直後、あっという間にクラスは人で溢れた。
終業式が終わるとクラスで成績表が渡される。いつもなら割と静かなホームルームもこのときばかりは騒々しい。みんな、自分と人の成績を比べてあれこれ話している。中には、「やっべ……俺、冬季補習組だっ」と呆然とする人も……。
一学期の終業式には出席できなかったから、高校でこの光景を見るのは初めてだった。
終業式自体は桜林館に入場してから二十分とかからずに終わった。けれど、その二十分を立っていられない私は最初から列に加わらなかった。朝のホームルームが終わってすぐ、川岸先生に申し出て許可をもらい、ひとり桜林館の隅に座らせてもらっていた。それに気づいた湊先生がやってきて、「ずいぶんと成長したじゃない?」と言われたけれど、どこが成長したのだろうか。