光のもとでⅠ
 全部を話すことは難しくて、かいつまんで話せるほど器用でもなくて。それに――話したら相談しているみたいでしょう……?
 違うの……相談するほど、悩むほどの何かがあったわけじゃない。だって……私の答えはもう出ている。決まっている。だから、何を悩む必要も、何を相談することもないの。
 あっちゃだめなの。あっちゃ、だめ、なの――。

「翠葉、先生呼んでる」
 海斗くんに頭を軽くつつかれて現実に引き戻される。
「えっ? あ、ごめん……あっ、じゃなくて、ありがとうっ」
 ガタガタと音を立てて席を立ち、教壇まで成績表を取りに行く。
「なんかぼーっとしてんなぁ? 大丈夫か?」
 先生に言われ、
「すみません……大丈夫です」
 頭を下げると髪の毛のカーテンが顔を隠してくれる。なんて便利……。
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