光のもとでⅠ
「ならいいが……。ほれ、成績表だ」
 開いたまま差し出された成績表には学年で五位と書かれていた。
「がんばったな。一学期よりも順位が上がってる。テストの成績だけなら学年で二位なんだが、体育がレポートだとどうしても実技テストが受けられない分マイナスになる。だが、体育がレポートでここまでの順位っていうのは相当いいほうだぞ? 三学期もこの調子でなっ!」
「はい……」
 私と入れ替わりで桃華さんが席を立った。
「具合悪い?」
 すれ違い様に訊かれる。
「ううん、そんなことないよ」
 顔半分がマスクで隠れている私は、佐野くんに指摘されたばかりの目が笑っていない作り笑いや言葉を返した。
 席に着いて、なんとなしにマスクに触れる。
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