光のもとでⅠ
 このクラスで免除される教科のほうが多いのは海斗くんと桃華さん、佐野くんと私だけ。私以外の三人は数学と化学。佐野くんがほかに数教科。私は古文と世界史。
 同じように教室中から声があがったけれど、その対象のほとんどは三人に向いていて、私が何か言われることはなかった。
 クラスメイトの遠慮に気づいた瞬間は、「気遣われる」を通り越して「遠慮」と感じた瞬間だった。
 孤独を感じた途端に身体が崩れ落ちそうになる。現実には椅子に座っているのだから崩れ落ちることなどないのだけど。感覚的なもの。足元に暗く深い闇が生まれて、今にも吸い込まれてしまう気がした。
 自分が悪い……。
 胃が、金属をすり合わせたような音を発する。キキキ、と音が鳴るたびに胃が痛んだ。
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