光のもとでⅠ
 たくさんの落ち葉を踏みしめながら、桜香苑から梅香苑へと進む。梅林館へ行くルートは自分以外にも歩いてる人がいた。自分ではいつもより早足で歩いているつもりだけど、人のそれとはずいぶんペースが異なるようで、私を追い越していく人はたくさんいた。中には、「よいお年を!」「バイバイ」と声をかけてくれる人もいた。
 紅葉祭のときにたくさんの人を覚えたつもりだったけれど、声をかけてくれたのは知らない人ばかりだった。でも、そんなことにもほっとしてしまう。
 クラスメイトや親しい人でないことにほっとしてる自分が――嫌。
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