光のもとでⅠ
 通った道は違うけど、こんな気持ちでここを歩くのは初めてではない。前はツカサが一緒だった。
 あのときは、対人関係のトラウマと大好きな友達たちへの後ろめたさでいっぱいだった。そんな私の前をツカサが歩いてた。
 今はひとり。前を見たところでツカサの姿はない。
「ひとり……」
 この言葉はこんなにも空しい響きだっただろうか――。

 梅林館前の停留所でバスが来るのを待っていると、二分ほどで学園を循環しているマイクロバスが着いた。バスからは高等部の制服を着た人が三人降りて、乗車したのは私だけ。次の停留所、初等部でバスを待っている人はひとりもいなかった。
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