光のもとでⅠ
 中学生のとき、幼稚園の園庭を見たときに感じたものと同じ。何もかもが小さく見えて奇妙な気分。
 今、自分の通っていた小学校を見てもこんなふうに見えるのだろうか。自分ではそんなに大きくなったつもりはないし、身長だってそんなに伸びた実感はないのだけれど……。それとも藤宮が公立より生徒数が少ないから小さめなのだろうか。
 錯覚のような感覚に囚われたままあちこち見ながら歩く。初等部敷地内に人影はない。きっと、初等部も今日が終業式だったのだろう。
 昇降口手前に校内模型図があり、現在地を確認するとすぐに飼育小屋の位置を確認した。飼育小屋は右に曲がって数十メートルと行ったところ。
 道なりに歩いていくと「飼育小屋はこちら」と案内が出ていた。その数メートル先、校舎と屋外プールの間に飼育小屋らしきものが建ち並び、それらの手前に用務員室と思しき建物があった。建物の入り口脇には、「用務員室」と人の手で書かれた木のプレートが立てかけてある。
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