光のもとでⅠ
 プレートの横にあるインターホンを押すと、人の良さそうなおじさんが受け付けの窓を開けてくれた。
「おや、見ない顔ですね?」
「高等部の御園生翠葉と申します」
 学生証を見せ名乗ると、
「初等部用務員の原島(はらしま)です」
 目尻の下がった五十代後半くらいの用務員さんはにこりと笑った。
「あの……動物を見せていただいてもいいですか?」
「いいですよ。飼育小屋にはウサギとヤギ、孔雀、ニワトリ、アヒル。ヤギ小屋の裏には池があります。そこには鯉とフナ。この時間だとカメが甲羅干しのために日向ぼっこしているでしょう」
 飼育小屋マップのパンフレットを指差しながら説明してくれる。けれど、そこにハムスターの文字はなかった。
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