光のもとでⅠ
「翠葉ちゃん……」
「うん?」
 隣に座る香乃子ちゃんは困惑した表情をしていた。
「翠葉ちゃんは……」
 言いかけては口を閉じ、再度開いてはまた閉じる。
「……な、に?」
 違和感の正体がわかった。私ではなく香乃子ちゃんだ。香乃子ちゃんがいつもと違うのだ。
 視線が合ったのは最初だけ。その後会話は続くものの、視線が交わることはなかった。
「翠葉ちゃん……どうして藤宮先輩を避けてるの?」
 思い切って口にしました。そんな感じで訊かれる。
 その言葉は私の心臓を鷲掴みにした。
「紅葉祭のとき――泣いちゃうくらい好きって思ってたのは、藤宮先輩のことだよねっ?」
「っ……」
 「好き」と口にしなくても見てればわかる、と蒼兄たちに言われた。香乃子ちゃんも見ていて気づいた人のひとりなのだろう。
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