光のもとでⅠ
「軽い……」
 重量としては軽いのに、命の重さは異様に重く感じた。生きているものの重さだと思った。
 平均すると二、三年の寿命。そう言われると余計に重く感じる。
「長くこの仕事をしていますが、三年以上生きる子はめったに見ませんね」
 その数年でどれほどのことを体験し、何を思って死んでいくのか……。
 生まれてたったの数年で死に至る。そのときのハムスターの心情はいかほどか、と考えずにはいられない。
 ハムスターは鼻先やヒゲを引くつかせながら私の手を観察していた。しばらくすると、毛づくろいを始める。
「毛づくろいはリラックスしている状態なんだよ」
 言いながら、秋斗さんも一匹のハムスターを手に取った。
「俺ね、なんとも思ってなかったんだ」
「え……?」
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