光のもとでⅠ
「実習だし課題だから……なんとなくのらりくらりとやってきたけど、こんな小さな生き物に命があること、人生があること、そんなこと考えもしなかったよ」
 秋斗さんは自嘲気味に笑い、手に乗せたハムスターの眉間を人差し指でさすりながら言う。
「世渡りは小さい頃から得意だったんだ。動物の飼育なんて文句を言われない程度に参加して、プレゼンでは道徳に適ったそれっぽいことを話せばいい。そんなふうに思ってたな。……こんなに小さくて、でも、こんな必死に生きてるのにね」
 秋斗さんの話を聞いて不思議に思う。
「秋斗さんは……どうしてここに?」
 ハムスターが好きで見に来たわけではなさそうだけれど……。
「どうしてだと思う?」
「……わかりません」
「唯情報」
 にこりと笑われ、思い当たる節にたどり着く。
< 8,716 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop