光のもとでⅠ
「ちょっと仕事詰め込みすぎてて、息抜きに翠葉ちゃんに会ってきたらどうかって言われたんだ。それで来たんだけど……来て良かった。翠葉ちゃんに会えたのはもちろんのこと、『命』に触れること。これってたぶん俺にも必要なことだったと思うから。……きっかけをくれてありがとね」
 お礼まで言われて困惑してしまう。
 そのあとはとくに何を話すでもなく、お互い小さなハムスターに触れていた。

 ハムスターが机から落ちただけで内臓破裂で死んでしまう恐れがある、というのは実物を見ればすぐに納得ができた。
 落下の衝撃で足を折ってもなんらおかしくない。それほどに小さく、華奢だ。
 ふくふくと太っている体格のいい子ですらか弱く見えるのだ。
 それでも、私の手よりもあたたかい。
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