光のもとでⅠ
 もそもそと動く様や、黙々とヒマワリの種を食べる様は精一杯生きているように思えた。
 生きるためにたくさんのことを考えてはいないかもしれない。けれど、生きることにはとても一生懸命で真摯な気がした。
 それだけで十分だった。

 用務委員さんにお礼を言って外に出ると、秋斗さんとふたりになる。
 校門まで、五十メートルほどの並木道を何も話さずに歩いていた。
 無言に耐えかえね、どうやってここまで来たのかを訊ねてみると、
「翠葉ちゃんと同じ。久しぶりに学内循環バスに乗った。マイクロバスってこんなに小さかったっけ、ってちょっとびっくりしたよ」
 秋斗さんはくつくつと笑う。
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