光のもとでⅠ
 のろのろと制服を脱ぎ、バスルームに入る。
 気持ち的にはすぐバスタブに浸かってしまいたかったのだけど、低温火傷が怖くて仕方なく順序を踏む。
 シャワーで三十四度くらいのお湯から徐々に身体の末端を温め、身体全体が四十度のお湯に慣れたところでバスタブに浸かった。
 髪の毛や身体を洗うのは後回し。何よりも先に身体を温めたかった。
 身体の痛みよりも腹部の痛みのほうが強いことが気になって。
「やだなぁ……」
 戻したくない。
 こみ上げるような吐き気はない。けれど、刺すような痛みがいつ吐き気に転じるかは時間の問題のような気がする。
 いつもは四十度のお湯に浸かることしかしないけど、どうにかして身体を温めたくて、四十五度のお湯をすぐに注ぎ足し始めた。
< 8,726 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop