光のもとでⅠ
「こっちの部屋の方があったかいでしょ?」
 確かに、暖房を入れてない自室よりもあたたかかった。
「リィはそれを食べる。俺は髪を乾かすっ」
「ありがとう……」
 この流れはお決まりのパターンになってきていた。
 ローテーブルにはすでにスープボールが置かれていた。
 なぜスープボールかというと、丼だと私が器負けしてしまうから。
 だから丼よりも二回りほど小さなスープボールによそってくれていた。
 お箸でおうどんを一本つかんで口に運ぶ。ちゅるちゅる、とすするのが苦手でも、一本だとどうにかすすることができる。
 食べたものが胃に到達したときにくる衝撃を恐れながら嚥下すると、予想していた痛みはこなかった。
< 8,728 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop