光のもとでⅠ
「散歩と読書は?」
「お散歩……って言えるくらいに歩いたのは、秋斗さんとツカサと紅葉を見たときだけで、読書は全然――」
 学校の授業についていくのに必死で、家にいて身体を休めなくていい時間はほぼ予習復習にあてていた。
「何もやれてなかったわけか……」
 言われるまで気づかなかったなんてどうかしている。
「まぁな……藤宮ともなれば授業についてくのは半端ねーだろうし、夏休みは病院で治療漬けだったからな……。冬休みは少しくらい羽伸ばせや。頼めばシスコンブラザーズが遠出にも連れてってくれるだろ? 少し日常から離れろ」
 日常……。
 でも、それは私が一番手放したくないもので、一番執着しているもので――。
「スイハ。頭ん中、空っぽにすることも大切だ。覚えとけ」
 先生……覚えることが多すぎて、覚えたところで実践しないと意味がないことばかりで、なんだかすごく――つらいです。
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