光のもとでⅠ
「よぉーしっ! 明日の朝はホットプレート出してみんなでホットケーキを焼こう! で、昼はお好み焼きだっ! 碧さん、帰りにスーパーで材料買って帰ろう!」
 話の主導権がお父さんに移り、私はそっとダイニングを出て洗面所へ向った。
 大きな鏡に情けない顔をした自分が映る。
 こんな顔をしていたら心配をかける――理由を訊かれる。
 奥歯に力をこめ、唾と一緒に涙もため息も何もかも全部一緒くたに飲みこんだ。
 飲み込めたところで消化できるかは不明。でも、これ以上情けない顔になるよりは断然いい。
 そんな私の隣に蒼兄が並び、水道のコックを捻った。
「ほら、手洗ってうがいして」
「ん……」
 あたたかいお湯に触れたら、飲み込んだものが再度溢れてきた。
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