光のもとでⅠ
 教材と楽譜、あとは毎日使う身の回りの細々したものだけ。
 一方、レポートや仕事の資料を持ち帰らなくてはいけない蒼兄と唯兄のほうが大変そうだ。
 様子を見に行ってみると、蒼兄が資料や書類などの振り分けをしていて、唯兄は洋服をボストンバックに詰めているところだった。
「あ……そっか。唯兄の洋服、冬服は幸倉にないものね?」
「そうそう。ホテルからこっちには持ってきたけど、幸倉には夏服がちょろっと置いてある程度だからさ。あ、あんちゃん、そこの赤いファイルも入れといて」
「っていうか、ここに積んであるの全部だろ?」
「うん。よろしく」
 部屋にはすでに三つのダンボールが陣取っていた。
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