光のもとでⅠ
「ちょっと早いけど、クリスマスプレゼントにネイルしようと思ってたんですよ!?」
「あら、それはもったいないことしたわ……。美波ちゃん、月曜日の予定は?」
「え? 空いてますけど……」
「じゃぁ、月曜日に寄るわ。月曜日は翠葉の病院だから」
 ふたりの会話を聞いていると、拓斗くんがちょこちょこっと走り寄ってくる。
「月曜日、会える?」
 一言一言区切った話し方がとてもかわいくて笑みが漏れる。
「うん。お母さんが寄るって言ってるから、きっと来るよ」
「約束っ」
 小指を目の前に出され、私は拓斗くんの前に座って小指を絡めた。
「うん、約束ね」
 にこりと笑う顔がとても無垢に思えて、その純粋さが羨ましくなった。
 拓斗くんにだって悩みはあるだろう。でも、今の私ほどではないだろうと思ってしまう。
 人の悩みの重さが自分にわかるはずはないのに。
 年齢なんて関係ない。抱えてる問題の大きさは抱えてる人にしかわかりようがないのに――。
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