光のもとでⅠ
 驚きに声を失う。
 それは蒼兄も同じだった。
「俺だけ除け者とかやめてよね。……寂しいじゃん」
 除け者にしたつもりはない。けれど……唯兄がそう感じたのならそういう行動だったのかもしれない。
 そんなつもりはなかった、と答えていいのか悪いのか……。
 自分の行動や言動で相手を不快にさせたり傷つけたり――私はわかっているつもりでまるでわかっていなかったから。
 咄嗟に否定することもできず、考えてみたところでこれといった言葉も浮かばない。
 どんな言葉を返したらいいものか……。
「別に除け者にしたつもりはないよ。ただ俺が起きてきたら翠葉が起きてたからさ。その流れで話しててこうなってるだけ」
 蒼兄が説明すると唯兄はあっさり納得し、防寒対策の念を押すとふたり揃って部屋を出ていった。
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