光のもとでⅠ
「唯兄……その格好で外に出るの?」
 深みあるグリーンのコーデュロイパンツに、綿素材らしき黒のタートル。その上に焦げ茶のザックリとした半袖ニットを着ている。アンティックゴールドの三日月型トップは茶色の皮紐に通されていた。
 小物使いも色の組み合わせも好きだな、とは思う。けれど、この上にコートを着るだけでは心もとない。
 どうしても寒そうに見えるのだ。
「リビングにダウンジャケットとストール、帽子が置いてある。あと手袋もね」
 それを聞いても、大丈夫かな、と思ってしまう。
 細身の人を見ると寒そうに見えるのは、刷り込みや単なる錯覚なのだろうか。
 じっと唯兄を見ていると、
「リィ、できれば俺にもカイロを恵んでください」
 言われてすぐに貼るカイロを渡した。
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