光のもとでⅠ
 まだ外灯の灯るジョギングコースを三人手をつないで歩く。
 珍しく、会話という会話がない。夏のように鳥のさえずりが聞こえるでもなく、あるのは私たちが吐き出した息が白く立ち上るのみ。
 質問責めにされるよりは楽なはずなのに、どうしてかとても居心地が悪い。空気が重くて、痛い……。
 歩みを進めるたびに蒼兄の息は整いだす。と、
「翠葉。さっきも言ったけど、別に上手になんて話さなくていいよ? 聞く時間はたくさんあるから」
 話題にされたくはないのに、誰かが声を発することにほっとする。
 優しくゆっくり話しかけられると、こんなにもほっとするのかと思うほどに。
 すでに冷たい空気で満たされた肺からあたたかな二酸化炭素を吐きながら、用意しておいた答えを口にした。
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