光のもとでⅠ
静かな公園に携帯の呼び出し音が鳴る。私のポケットからムーンリバーが流れた。
ムーンリバーということは、家族か湊先生か栞さん。
ポケットから携帯を取り出したものの、手袋をしている手では通話ボタンが押せない。それを見かねた蒼兄が代わりに電話に出てくれた。
「もしもし」
出た途端に蒼兄が携帯を耳から離した。
携帯からは、
『なんで蒼樹が出るの!? 翠葉は!?』
切羽詰った声が辺りに響く。
「お、お母さんっ。私、ここにいるっ。蒼兄たちと一緒にいるっ。手袋してたから通話ボタンが押せなくて蒼兄が出てくれただけっ」
『唯も一緒っ?』
「い、一緒っす。あのですね、今、ものすっごい朝陽がキレイなんですよ」
焦りつつも場を和ませようとした唯兄の言葉に返ってきたのは――。
『出かけるなら出かけるで置き手紙くらいしていきなさいっ』
一際大きな怒声だった。
ムーンリバーということは、家族か湊先生か栞さん。
ポケットから携帯を取り出したものの、手袋をしている手では通話ボタンが押せない。それを見かねた蒼兄が代わりに電話に出てくれた。
「もしもし」
出た途端に蒼兄が携帯を耳から離した。
携帯からは、
『なんで蒼樹が出るの!? 翠葉は!?』
切羽詰った声が辺りに響く。
「お、お母さんっ。私、ここにいるっ。蒼兄たちと一緒にいるっ。手袋してたから通話ボタンが押せなくて蒼兄が出てくれただけっ」
『唯も一緒っ?』
「い、一緒っす。あのですね、今、ものすっごい朝陽がキレイなんですよ」
焦りつつも場を和ませようとした唯兄の言葉に返ってきたのは――。
『出かけるなら出かけるで置き手紙くらいしていきなさいっ』
一際大きな怒声だった。