光のもとでⅠ
 こめかみを押さえたお母さんが、
「そう、朝五時でも零なら喜ぶわ。……でも、私は遠慮するわね」
 お父さんはにこりと笑む。
「だって、冬のさっむい朝に家族で散歩なんてしてる家、なかなかないだろ? そういうの、なんかいいじゃん。仲良し家族っぽくて。碧さんも一緒に行こうよ」
「やぁよ……こんな寒い中。夏の早朝散歩なら付き合うけど」
 お父さんとお母さんの会話に唯兄が破顔した。
「変な家族だとは思ってたけど、本当に変っ! でも、早朝散歩なんかしなくったって仲良し家族じゃん。こんなふうに子どもたちに混じりたいって本気で拗ねるお父さんが世にどのくらいいると思う?」
 どうしてかわからないけど、唯兄はずっと笑っていた。笑って笑って笑い転げていた。
 お腹が痛くなってもまだ笑っていて、心から唯兄が幸せを感じているのだと思えた。
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